40代男仕事終わりの夜20時。僕たちは「漆黒の闇」へと車を走らせた
どうも!先日はワールドカップの早朝観戦で大絶叫し、妻から一発レッドカードを喰らって無言の腹筋運動に励んでいた、40代男の「僕」です。
ここ最近、僕の周りで少し心が曇ってしまっている大先輩がいました。 仕事でもプライベートでもちょっと調子が良くなくて、目に見えて落ち込み気味の50代のお姉さん。日頃からお世話になっている大切な人が元気をなくしている姿を見るのは、周りとしても本当に辛いものです。
「よし、みんなでドライブがてら美味しいものでも食べて、パーッと励ます会をやろう!」
そう思い立った僕たちは、せっかくなら今の時期にしか絶対に味わえない「極上の癒やし」をプレゼントしようと考えました。仕入れた情報によると、今の時期、山の方ではまだまだ「蛍(ホタル)」が綺麗に舞い飛んでいるとのこと。
時計の針が夜の20時を回った頃。仕事を終えたばかりの50代が2人、そして僕を含めた40代が2人。普段なら「あー疲れた、ビール飲んで寝よ」となる時間帯です。 しかし、この日ばかりは違いました。合計年齢180歳オーバーのおじさんおばさん4名が、1台の車にギュッと乗り込み、ここから片道1時間かかる未知の「蛍の里」を目指して、夜のハイウェイへと飛び出したのです!
この歳になると、仕事終わりにわざわざ遠出をして遊びに行くなんて機会、滅多にありませんよね。車内はまるで、高校時代の修学旅行の夜。久しぶりの夜間ドライブというシチュエーションだけで、仕事の疲れなんてどこへやら、無茶苦茶に盛り上がりました。
蛍の習性と大人の迷宮:ナビなしでは生還不可能な真っ暗な山道を超えて
市街地を抜けて30分も走れば、景色は一変。街灯の光は消え去り、フロントライトだけが頼りの「ガチの真っ暗な山道」へと突入しました。 もはやカーナビの画面がなければ、自分たちが地球のどこを走っているのかすら分からないレベル。いくつもの険しい山を越え、深い闇の奥へと進んでいきます。
ここでちょっと、蛍の習性についてざっくりとおさらいしておきましょう。
💡 蛍が美しく舞うための「3つの絶対条件」
- 時間帯は「21時頃」がファーストピーク: 蛍は夜ならいつでも飛んでいるわけではありません。夜の20時〜21時頃、23時頃、深夜2時頃と、一晩に3回ほど活発に飛ぶ波があります。特に仕事終わりに狙うなら、21時頃の第1の波がベストタイミング!
- 月明かりのない「曇った、風のない生暖かい夜」: 蛍は自分の光でプロポーズ(求愛行動)をするため、月明かりが強かったり、風が強かったりすると引きこもってしまいます。
- 光を遮る「完全な清流と漆黒の闇」: 人工的な光があると、蛍は互いの光を見失ってしまい、うまく飛べなくなってしまいます。
そう、蛍鑑賞において最も重要なのは「完全な闇」なのです。
今回、僕たちが目指した目的地は、岡山市北区虎倉(こぐら)にある「おおののほたる」。 ここは毎年5月~6月頃に「ホタル祭り」がひらかれる場所で、知る人ぞ知る、岡山屈指の蛍の聖地です。
ようやく目的地にたどり着いた時、少しだけ気になることがありました。 以前僕がここを訪れた時にはなかったはずの「街灯」が、何ヶ所かに新設されていたのです。ホタル鑑賞という僕たちのワガママな視点だけで言えば、「うわ〜、この街灯、邪魔だなぁ…真っ暗な方がいいのに」と思ってしまうのが本音です。
しかし、そこで文句を言うのはスマートな大人じゃありません。 この場所に住み、毎日を暮らしている地元の人たちにとっては、この街灯は生活の安全や防犯面において、なくてはならない命綱です。僕たちのような「ヨソから蛍を見に来ただけの観光客」が、地元の生活の灯りにケチをつけるのはお門違いというもの。
「地元の人たちへの感謝を忘れず、もっと奥の暗闇を探そう」
そう言って、僕たちはさらに車を降り、渓谷の奥深く、街灯の光が届かない完全な漆黒のポイントへと足を一歩、踏み入れました。
渓谷の奇跡:40代・50代が深夜に大はしゃぎした、幻想的な光の曲線
一歩、闇の奥へ進んだ瞬間。 僕たちの口から、言葉にならない溜息が漏れました。
「……すごい。何これ……!!」
そこにあったのは、人工的なCGでも、スマホの液晶画面でも絶対に再現不可能な、神様が作った天然のイルミネーション。なんとも言えない幻想的な世界が、目の前いっぱいに広がっていたのです。
漆黒の闇夜の中を、淡く優しい緑がかった光の曲線が、あっちからも、こっちからも、まるで生きている星屑のように滑らかな軌跡を描いて流れていきます。 1匹、また1匹と、お互いにシンクロするように明滅する光のダンス。
さっきまで「仕事で疲れた〜」なんて言っていた40代、50代のおじさんおばさんたちのテンションは、ここで完全に爆上がり! 「うわ!あそこ見て!」「こっちにも来た!」と、まるで幼少期に戻ったかのように、夜の渓谷できゃっきゃと言いながら大はしゃぎしてしまいました。
大人たちが一斉にスマホを取り出し、なんとかこの感動をカメラに収めようと写真を撮ってみるのですが、これがまぁ、驚くほど上手く写らない。 画面に映るのは、ただのノイズだらけの真っ黒な画像か、ブレブレの謎の光の点。
「やっぱり、これは直接この目で見るものとは完全に別物やな」
みんなで苦笑いしながらスマホをポケットにしまいました。でも、それでいいんです。レンズ越しではなく、自分の網膜に、そして脳裏に直接焼き付けることこそが、本物の体験なんですから。

でも、本物はこれの何百倍も綺麗なんですよ!

五感の解放:マイナスイオンと大自然がくれた、最高のメンタルケア
ふと横を見ると、食事の時まであれほど悩みやストレスで顔を曇らせていた50代のお姉さんが、少女のような笑顔で蛍の光をじっと見つめていました。
「本当に綺麗……。ここに来ている間だけは、現実の嫌なことや悩みを全部忘れて、心から楽しめたわ」
その言葉を聞いた瞬間、仕事終わりに1時間車を飛ばしてきたすべての苦労が報われました。
蛍が生息する場所というのは、言うまでもなく「水が信じられないほど綺麗で、環境が豊かな場所」です。 ふと耳を澄ませば、河原のすぐ隣に広がる田園から、カエルたちの合唱や、夏の訪れを告げる虫たちの様々な鳴き声が、絶え間なく心地よいBGMとして響いてきます。
この場所には、都会の喧騒や、仕事のストレス、SNSの通知なんて雑音は一切存在しません。
- 視覚: 暗闇を優しく揺らめく、淡い蛍の光。
- 聴覚: 清流のせせらぎと、カエルや虫たちの天然のオーケストラ。
- 嗅覚: 大雨上がりの、湿った土と瑞々しい緑が放つ、濃厚な大自然の香り。
まさに、視覚、聴覚、そして嗅覚までもフルに使って、大自然のマイナスイオンを全身に浴びる贅沢。 ただそこに立っているだけで、日々の生活でカチカチに凝り固まっていた脳の疲労が、じわ〜っと優しく緩和されていくのがリアルに分かりました。現代人に本当に必要なメンタルケアって、こういうことなのかもしれません。
現実への帰還:思春期の子どもたちとの「2時間の壁」と、令和の距離感
最高の癒やしを得て、大満足で帰宅した僕。 この感動を、ぜひ我が最愛の家族にも味わせてあげたい!まだ今の時期ならギリギリ間に合う!
そう確信した僕は、翌日、興奮気味に子どもたちを誘ってみました。
「なぁ!昨日虎倉まで蛍見に行ったんやけど、めちゃくちゃ綺麗やったで!まだ見れるから、今夜みんなでドライブがてら見に行こうや!」
しかし、ここで僕の前に立ちはだかったのは、思春期真っ只中にある高校生の娘と中学生の息子という、最強の冷徹ティーンエージャーたちでした。
「え〜…往復で2時間も車に乗るのいやだ」 「ぶっちゃけ、携帯で見たらよくね? YouTubeとかにあるっしょ」
お世辞にも「お父さん誘ってくれてありがとう、でも忙しいから…」なんて取り繕うことすら一切せず、秒速で、かつ100%のストレートで断られました。
ガーン。頭の中で、昨日見た蛍の光がすべて消灯した音がしました。
「携帯で見たらいいやん」
その言葉の破壊力たるや。確かに、スマホを数回タップすれば、4K画質の超綺麗な蛍の映像がいつでもどこでも観られます。エアコンの効いた涼しい部屋で、一歩も動かずに。
だけどさ、違うんだよ、子どもたちよ。 あの、車内で「どこ走っとんかわからん!」って言いながらワイワイ迷う楽しさ、車を降りた瞬間のひんやりとした山の空気、草の匂い、カエルの声、そして暗闇の中で不意に自分の目の前を横切るあの儚い光の美しさは、スマホの液晶画面じゃ絶対に味わえないんだよ……!
なんて熱弁したところで、思春期の子どもたちには「はいはい、おじさんのエモ語り乙」で片付けられてしまうのが令和の現実。 大自然の中で蛍と触れ合って縮まったはずのストレスですが、今度は我が子との「精神的な距離感」をまざまざと見せつけられ、別の意味でちょっと切ない気持ちになってしまった僕なのでした(笑)。
でもいいんです。大人には大人の、若者には若者の世界がある。 僕たち40代・50代は、これからもスマホの画面を閉じ、フットワーク軽く「本物の感動」を求めて、夜の山道を爆走し続けようじゃありませんか!
皆さんも、スマホを置いて、大切な人を誘って、五感を解放する「大人の夜遊び」に出かけてみませんか?
今日も最高の1日を、リアルな世界へ走り出しましょう!


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